2*繋ぐ指先

 「雨が、雪に変わるなんて。思ってなかったの。」

青夜(さや)が僕の手を繋ぎながらぽつりと溢した。

「雨が降った後は晴れるものだと思っていたわ。」

「だから、もうさようならなんだろう。」

「そうねぇ、お天気に左右されるわたし達の仲だもの。」

クスクスと笑い、青夜が僕の指先を玩び、僕たちの頭の上をどこまでも青い空が綻びていく、僕たちの言葉とは裏腹に。


なんて静かな光景だろうと思う。

この世界には僕たちしかいないようだ。

たった二人が分かれてしまったら、僕たちはお互い半分になってしまうというのに。


僕たちが離れてしまったら、もう二度とありえない逢瀬は永遠に失ってしまうというのに。


それでも
青夜 ( さや ) は笑うのだ。

清々しく、水のような瞳を僕に残して。

この世で最も美しいと感じた青夜の瞳は誰のものでない。

青夜のものでさえない。

だから欲しくなる。

僕の浅薄な思いは、青夜を壊してしまった。

永遠に彼女の想いは伝わらない。

僕には伝わらない。

愛でもなく恋でもなく、僕たちは確かにつながっていた。

それさえ(ゼロ)になって、僕だけが1人だ。

綻び続ける青空を縫って、僕は1人立ち尽くした。


青夜の墓は彼女の故郷のはずれ、何とかという寺にある。

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