6*静寂の中、子守唄。

彼女の子守唄を聞きながら、目を瞑る。

その彼女の詩は慈しみに満ち満ちていた。

その彼女の声は低く、鼓膜を震わすように僕の耳に残った。

それは、この青い大地をすっぽり包み込むかのような愛の歌だった。

そっと目を開けると、彼女が窓辺に佇んで、
やはり静かに歌っている。

その唄には力があった。
願いが込められていた。

静かで、穏やかで、願って止まぬ安息の日々を、と。

そんなにも歌う彼女の背筋は、悲しいほどに何処か懐かしくもある。

僕は再び目を瞑った。

(………。)

眦から涙が滲んだ。
僕は確かにこの子守唄を耳にするのは初めてなのに。
何故、むしょうに懐かしいのだろう。
何ゆえ、こんなにも胸が詰まるのだろう。

(…っぁ。)

息が零れる。
眦から涙が滲む。

彼女は美しい。ほんとうにうつくしい。

神様、もう少しだけ長く。
刹那でも長く。
この優しい唄が続きますようにと、僕は祈った。

僕は祈った。












BACK

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送